ウィル・カーターの論点
「いつか崩れ去るだろうか。この矮小な論点が」苦学生ウィル・カーターは法曹を志すも出自の為に道を阻まれ、恵まれぬ境遇にいた。名家の御曹司で成績も優秀、試験では主席を取り続けるアドルフ・マルクアートはウィルに興味を示すが、嫉妬と羨望からウィルはアドルフを拒絶してしまう。拒絶されたアドルフが取った行動とは――。同時収録として、他者の嫌悪が棘として視えてしまうクリスのアドルフへの純粋ながらも
屈折した逡巡を描いた「嫌悪の棘」を含む全9作からなる少年たちの物語は閉鎖的な学舎の中で繰り広げられる瑞々しくも時として鬱屈とした感情を鮮やかに描く。いつかは学生であった読者へと届けたい、在りし日の物語。