こいねがう、夜明け -生贄の花婿は人に還る-(分冊版)
夏のある日、榛葉直央(しんば なお)は友人・倉橋美千流(くらはし みちる)に誘われ、彼女の故郷である小嵐村を訪れる。
そこで出会ったのは美しい男性、美千流の兄・美鶴(みつる)。
穏やかで素直な表情を見せる美鶴に好感を抱くが、彼にはどこか影があり……。
そして真夜中、ふたりの眠る一室にあらわれたのは、美鶴をさがす人ではない存在。
「榛葉くん――……隠して」
惹かれた相手は『人ならざるもの』の生贄――“花婿”だった。
美鶴と接し、“花婿”を享受するのは本心ではない。そう気づいた直央は、彼を救う決心をして……。
因習にとらわれた村で、互いに陰りをもつ心が光を求めはじめる。