泥濘に愛を沈めて
両親を亡くし村の外れに住まう紀之介(きのすけ)は幼い弟妹を育てるため、権力者である岩下にその身を差しだしていた。
岩下の息子である秀雄(ひでお)は、夏期休暇に田舎に帰ってきた際、父が紀之介を抱くところを見てしまう。泣きながら男を受け挿れる姿と健気に弟妹を育てる姿、そして時折遠くを見て涙ぐむ紀之介に恋心を抱いた秀雄は、一度だけ彼を抱く。
「いつか助けてやる……それまで辛抱しろ」
「貴方様も岩下様から咎を受けます……恐ろしいことをされます……もうお放しください」
「嫌だ……お前が欲しいのだ」
必ず助けると誓い、帝都の大学へと戻っていった秀雄は、紀之介を助け出すため、秀雄は力をつけるべく友人と会社を立ち上げた。
約束から十年、紀之介を助け出すことができた秀雄だが、その頃には父の手によって男に抱かれなければ取り乱す身体となっていた。
村の権力者の息子×両親を亡くした兄妹の長男
※本作は椎名サクラの個人誌作品の電子書籍版となります。