クジラの海
毎日、自分の家で居場所を確保するのは大変だ。両親の離婚問題が片付くまで、おじの家に預けられている優香は海の見える綺麗な町で、入水する1人の若者を発見する! 勘違いだったものの、その彼の忘れ物のスケッチブックを届けるために、優香は彼の自宅へと辿り着く。そこで勝巳の母親に気に入られた優香は、歓迎会に強引に誘われるが……そこで見た景色は、うわべだけの会話と偽善とした空気の中での晩餐であった。嫌気がさして出て行く勝巳を追う優香。そこは初めて勝巳と出会ったあの海岸であった。勝巳に同情するつもりで追いかけた優香は、勝巳に自分の弱みをつかれ悩んでしまったのだった…。心温まる千村青先生の恋愛短編集、第2弾。(本作は先生の旧ペンネーム・水野葉月名義で描かれた作品を元に再構成した1冊です。先生は現在、ペンネームを「千村青」に統一して活躍中です)。