紅い帆船
カリブ海の波頭を蹴立てて進んでゆく、一隻の船。帆も旗も紅く彩られたその勇姿は、海賊船「紅い帆船(ふね)」だった。王族の船への奇襲が成功した日、海賊団首領の息子・ジャンは波間で金色に輝く何かを発見する。それは輝くようなブロンドの赤ん坊で、見た目のとおりに「エンジェル」と名づけられた……。14年の時が過ぎ、美しい少女となったエンジェルはジャンを実の兄のように慕い、ともに海賊団をもり立てていた。だが首領が戦いにたおれ、エンジェルの数奇な運命が再び動きはじめる。ジャマイカ王宮へ潜入した彼女たちが出会ったものとは!? 表題作「紅い帆船」は血湧き肉踊る海洋ロマン活劇! 家出娘、佐藤ちひろは「人に頼ること」にかけては天性の才能を持っていた。心細い夜道で航空パイロット志望の青年・西条政臣とその友人に出会い、さっそく頼ることに。政臣のアパートに転がりこんだちひろは、やがて夢を共有する喜びにめざめてゆく……。読み切り「白い翼いま……」はまっすぐな青春ストーリー。全4作の至極の短編集!