勝戸いづみ傑作集
1990年代に読み切りを中心に商業誌で活動した少女漫画家・勝戸いづみが残した作品は、優しく、暖かく、切なく、生きるのが不器用な登場人物たちのドラマが並ぶ。
片思いを抱える少女の心情を丁寧に描き、小道具を駆使した伏線で物語を展開しつつ「愛する人への自己犠牲」をテーマにした恋愛物語が大半である。
表題作の「シマシマ」は学園の人気者「鹿島」と「大島」のシマシマコンビとの間に揺れ動く恋心を描いた作品。
「ハートの破片」は恋心を伝えられない片思いの男友達のために「恋の橋つなぎ」に徹する少女のお話。
「踊ろうよ」は文化祭の人形劇を舞台に届かない思いを伝えようとする少女の恋物語。
傷つきやすく、壊れやすく、そしてハートウォーミングなラブストリーの数々。
かけがえない、青春の切実な瞬間が、鮮やかに紡がれる。