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  • 誑惑遊び【タテヨミ】

    公開中!

    誑惑遊び【タテヨミ】 

    作家:辰巳ドロ子

    雑誌・レーベル:100%男子

    ジャンル:BLマンガ / タテヨミ

    (3.0/5.0)投稿数2件
    奇想と耽美の鬼才、辰巳ドロ子の最初で最後のBL作品集を完全タテヨミ化!!

    ◎◎◎収録作品◎◎◎
    『誑惑遊び』【第一話】(1冊目)【第二話】(2冊目)【第三話】(3冊目)【最終話】(4冊目)※フルカラー作品
    戦後間もない頃、地方の新制高校に赴任した若い教師・竹下は問題児・若松に強く興味を惹かれる。学業の成績は極めて優秀ながら非行少年達とのいかがわしい交際が噂される彼は、地元の老舗遊郭の一人息子とか。そんな背景もあって普段は高圧的で無遠慮な先輩教諭たちも敬遠する存在。生真面目な竹下は、中性的な妖しい色香を放つ美少年に違和感を抱きつつも、彼の生い立ちに同情し次第に距離を縮めていく。誠実であるが故に無防備な、自らの愚かさに気づくことなく…。一方、美しい仮面の下に邪鬼の素顔を隠し持った少年は、青年教師に対し複雑な恋情と純粋な肉欲を抱かえ、ひとり密かに身を焦がしていた。「俺、その辺の女より巧いから」と冗談半分を装った軽口も、実は不器用な求愛だったのだが…異性愛しか知らない堅物の教師に、手ひどく拒絶されてしまう。そんな折り、一人の若く美しい女性がその地方都市を訪れる。竹下の婚約者だ。勝負にならない恋敵の出現、絶望と虚無が少年の狂気を駆り立てる。美しいから汚したい、愛おしいから壊したい…アンビバレンツな衝動が悲劇をエスカレートさせる。痴情と純情、冷酷と熱狂が交錯するエロチック・サスペンス!!

    『醒めない夢』【前編】(5冊目)【中編】(6冊目)【後編】(7冊目)
    秋風が吹き抜ける午後の寺街。狭い路地で小説家・辻浦は偶然、野辺送りの葬列に通り合わせる。悲嘆にくれる遺族が抱えた遺影の主はまだうら若い学生服姿の少年だった。上品で賢げな容姿が哀れみを誘い、その面影が記憶に残ったせいだろう、辻浦はその夜、彼の夢を見る。儚く散った少年との、切なく疼くような情交の夢…だが夢というには、少年の骨肉や粘膜の感触はあまりにもリアルだった。赤の他人ながら奇妙な縁を覚えた辻浦は翌朝、墓参りを思い立つ。墓前で手を合わせ成仏を祈りつつも、無意識下とはいえ己の内奥の淫猥さを思うと心静かには居られぬ辻浦だったが…ふと気配に振り返ると、背後に立っていたのは昨日の遺影そのままの学生服姿の少年だった。黄泉がえり!? まさかにもそんな訳もなく、自分は故人・惣太の双子の弟・要、と名乗る少年。瓜二つなのは当然だが、驚くべきは彼が持参していた亡兄への手向けの品という一冊の小説本。それは辻浦の著作だった。故人の何よりの愛読書で、自分も兄同様に作家の熱烈なファンだという。重なる奇遇、意図せぬ奇縁に二人の交際は急速に密に濃く、そしていつしか肌を合わす仲になる。しかし要は兄・惣太の死因について暗く重大な秘密を抱えていた。そして辻浦もまた…!? 前世からの宿縁か、怨霊の祟りか、二人が情交に耽る寝室にはいつしか死臭が立ち籠め始める。エロスとタナトゥス入り交じる混沌の中、夢は醒めず、時は停まる。

    『癖になる液』(8冊目)※フルカラー作品
    哲也は頑健な自分とは対照的な虚弱体質の同級生・直樹のことがついつい気になってしまう。その日も、直樹の華奢な指にグルグル巻かれた包帯に目を止め声をかけたが、「昨日ちょっと転んだだけ」とにべもない返答。親兄弟でもないただの級友ではそれ以上、詮索も出来ない。だが毎日、教室で顔を合わせるたびに直樹の傷は増えていく。指から手首へ、上腕から胸元へ。包帯に覆われていく痛々しい姿に辛抱ならず、本当の理由を問い質すと…。なんと近所の青年に請われ、新鮮な血液を舐めさせているのだという。それは、直樹の貧窮する家庭環境を憐れみ無償で家庭教師をしてくれている青年へのせめてもの感謝の気持ち、授業料代わりだと。吸血鬼…ではなかった。青年曰く、直樹の分泌物には中毒性があるとかで、日々要求はエスカレート。最近では「女の子にするみたいにされて…」別の体液まで搾取されている、と仰天の告白。義憤に駆られ青年を告発する哲也、だがその激情の裏に強い嫉妬が隠されていたとは自身も気づかず…!? 青春の日々、少年たちに忍び寄り浸潤する性愛のイニシエーション。悪癖に染まり痴れ溺れ堕ちて…僕らは大人になる。

    『追憶忌憚』(9冊目)
    稔の美しい姉は病で急逝した。遺された姉の夫・正治は絶望の淵に沈み廃人状態、まるで生きる屍だ。心配する母に懇願され様子を見に行くと案の定、義兄は家に引き籠り食事もろくに摂っていないらしい。このままでは衰弱し、やがて命の炎も…いや、むしろ義兄は緩慢な自死を謀っている。しかしそれでは懸命に生きようとした姉の意志を否定することになるのでは…!? 稔の叱咤激励にも容易に心動かさぬ正治だったが、自分を思う義弟の面差しが最愛の亡き妻に重なって見えた瞬間、生への執着が蘇る。だがそれは同時に性別を超えた官能への妄執を惹起し、悍ましい肉欲の蠢動を誘発するとは…。

    『子捕り』(10冊目)
    「幼馴染みの幸人が、俺の目の前で誘拐されたのは八歳の春だった。何も出来ず、ただ見ているしかなかった自分の不甲斐なさを、どれほど恥じ悔やんできたか。それなのに十年ぶりに姿を現した幸人は、あろうことかあの時の誘拐犯と共に暮らし、実の家族のように明るい笑みを交わしていた。なぜだ…!?」痛切な悔恨の日々を経て実現した再会は、決して誰にも祝福されることはなかった。封印したはずの不幸な秘密は暴露され故郷は消失、友を道連れに罪人として生きる道を選択する少年。禍々しいカルマに翻弄されながらも、愛ある居場所を探して巡礼の旅を続ける同行二人。

    『恋文』(11冊目)
    南方の前線部隊に配属された二人の若い召集兵・赤平と藤宮。人懐っこく開けっぴろげな藤宮の言動は、鬱屈した性情の藤宮にとって何物にも替えがたい癒しだった。過酷な戦場生活の中で友情を育む二人。束の間の安息、藤宮から手紙の代筆を頼まれる赤平。自分は貧窮の育ちで字が書けないこと、宛て先は故郷に残した幼馴染みの少女で、まだ許嫁というわけではないが…云々と、羞恥に赤面しながら告白する戦友の依頼を快諾した赤平だったが…何通も代筆を重ねるうち、便りの相手に奇妙な嫉妬心を募らせていく自分に気づく。そんなある日、食糧調達のため本隊を離れた二人は、丸腰で敵哨戒部隊と接近遭遇。息を殺し物陰に身を隠す二人。そんな危機一髪の極限状況下、赤平は絶対に声を出せない藤宮に卑劣かつ淫猥な行為を仕掛けてきて…!? 一瞬で生死を分かつ無常な戦場の片隅に咲いた一輪の花、友愛の絆は幻だったのか、それとも…? 慟哭のラスト。

    フルカラーを含む珠玉の作品集は、異能を極めた若き作家が描き出す天衣無縫、絢爛たる禁色曼荼羅です。
    百鬼夜行の巷の淫虐非道か、はたまた愛縛清浄の末の喜悦法身か。善悪の彼岸で乱れ咲く曼珠沙華、肉の華の色と香りをご堪能ください。
    (乱歩や久作、京極好きな方には特にお薦めです)