てのひらにひとひらの花
明日処分されるはずだった死にかけた奴隷の少年ミカを救ってくれたのは、サクロナ王国最大の海洋交易商の息子エルネストだった。
事故で左足に重い麻痺を負い跡継ぎから外され、地方都市エリンで若くして隠居生活を送っていたエルネストの屋敷に引き取られたミカは、彼の許で学びながら働く事になる。
事故以来、誰にも心を許さなかったエルネストが、奴隷のミカだけに心を許し、深く心を寄せるようになっていく。ミカもそんなエルネストを慕い、強く惹かれていく。惹かれ合い、想い合いながらも奴隷と主人という身分の差を越えられず、奴隷の蜂起や暴動という激変する時代の中で、すれ違うふたりは……。
心と身体に傷を負った孤独な青年と、ひたすらに慕う奴隷の少年の、身分違いの恋の物語。
※本作は宵の個人誌作品の電子書籍版となります。