完結
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ある夏の日――美しい“花婿”と出会い、平凡な日常は一変した。
過去の記憶から人との距離を詰められない榛葉直央(しんば なお)は、気分転換にと友人の故郷である小嵐村を訪れる。
都会の喧騒を離れたその村で、直央は友人の兄・美鶴(みつる)に目を奪われた。
艶やかな髪に線の細い体、そして和装の出で立ち。十七歳を境に山の社で過ごしているという美鶴は、浮世離れした美しさとどこか影のある雰囲気を纏っていた。
彼の笑みに、直央の心は不思議と溶かされていく。
けれどその夜、ふたりの眠る一室に美鶴をさがす存在があらわれる。
「榛葉くん――……隠して」
美鶴は『人ならざるもの』の生贄――“花婿”だったのだ。
因習にとらわれた村で、直央と美鶴は日常を壊すように惹かれあっていく。
美鶴の嫉妬を描いた書き下ろし後日談番外編も収録。
※本作品は同タイトルの分冊版1~8巻に、書き下ろしSSとイラストを追加したものです。