完結
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お家没落で、借金のかたとして宗明(むねあき)の妾となった肇(はじめ)。
陰間でも二十歳までしか売れないと言われる二十歳に間もなくなろうとしているときに気付いてしまったのだ。
宗明に心を寄せていることに。
――知らぬままが良かったと口には出せぬ。あの人を知らぬまま誰彼構わずに抱かれた方が良かったなどと言いはしない。
けれどと思う。
気付かねば良かった。陰間なら薹が立った頃になって気付きたくはなかった。
自分があの人を慕っていることなど、知らぬままでいたかった――
肇は宛がわれた小さな家で、彼を想って死のうと心に決めるのだった。
貸金業の社長×元公家の子息
※本作は椎名サクラの個人誌作品の電子書籍版となります。