この結婚は仮初です
没落貴族の令嬢という経済的な事情により、魔法を学びたいという夢が破れたメイル・アリーデは、
乞われるがままに公爵家の令息・ガイアス・フォーゼンと結婚をする。
無表情で不愛想なガイアスは、結婚式の日でさえメイルへまともに話しかけてくることもなく、
これからのことを考えると彼女はため息が出るばかりだった。
一方のガイアスも、過去のある出来事により、他人と言葉を交して心を開くことが苦手になっていた。
想いを上手く伝えられないふたりだったが、ともに魔法に対する深い興味という共通項があった。
夫婦というよりも、魔法の師弟として距離を縮めていくふたり。
そんななか、ガイアスの元に忘れようとしていた過去が舞い戻ってきて――。