【単話】遅咲きのオメガ
医学がまだそれほど進んでおらず、α・β・Ωの性別検査はあるものの、精度が低い時代。実際にそれぞれの特徴が表に出て初めて、明確に判別するしかなかった。また発情期の抑制剤は高価で手に入りづらく、Ωの生きる道は大方、慰みもの――男娼やαの性玩具――しかなかった。そんな時代に、幼い頃両親を亡くし、カフェーと娼館を営む叔父の養子として、カフェーの厨房で手伝いをしていたβの依之助。そして義父が懇意にする仕立て屋の息子であるαの燈耶は、その依之助に密かに恋心を抱きつつも、αとβという境遇から、それ以上を望もうとせずに、二人の「友情関係」は続いていた。。時が経ち――、依之助が齢24となったある日、αの燈耶に引き寄せられ、見つめられたのをきっかけに、Ωのような発情期が来て……!?
時代に翻弄される、男娼のΩと結ばれるはずのないαの、大正ロマンΩバース、開幕!