金と銀と、オオカミ王子
「剣の扱い方も、戦い方も、そのほかのことも全部、オレが教えてあげる」
「いい加減にしろエロ王子ーーーーッ!!」
誰の命にも従わない、なにものにも縛られない。旅をしながら、苦しむ人々のために剣を取る『金の剣士』に憧れているローズ。研鑽を積み、女性初の『銀の剣士』となったが、剣の師匠で『金の剣士』でもある従兄リレックには「庇護すべき妹」扱いをされている。あげく、護衛対象のボンクラ王子アレンまでローズを「可愛い女の子」扱いしてくる始末。アレンは『高貴なる穀つぶし』との異名を持ち、恵まれた容姿と王子という肩書きを武器に浮名を流す色男。初心なローズは振り回されがち――なのだが、なにかとセクハラしてくるくせに、『金の剣士』へと成長するための的確なアドバイスをくれるアレンにいつしか心惹かれていく。そんなとき、リレックから思いもよらぬ言葉を聞かされる。アレンがローズが焦がれてやまない『金の剣士』であると――。