教育を受ける側の目線から考える 教師として大切にしたいこと
教師が行った教育の評価をその教育を受けた児童生徒に尋ねたら、どのような答えが返ってくるだろうか?おそらくその教育を受けた直後の答えと、数年後の答えは異なるであろう。どちらもその時点での正しい答えには違いないだろうが、数年後の答えにはその当時は感じられなかった価値が加わってくる可能性がある。それは、幅広い視野を身につけたからこそわかるその教師が行った教育の価値が、余計に強く感じられると考えるからである。
本書は、学校現場で出会った恩師への憧れから教師をめざそうと決意した大学生に対し、著者が様々な方向からの聞き取りをすることを通して、その恩師の行ってきた教育の根幹をあぶりだそうとする試みである。著者とのさりげないやりとりを通して、何年も前の恩師の教育がリアルに蘇ってくる。そして、その当時の子どもたちが教師のどこを見てどう評価していたのか、また、数年後の今だからこそ感じる恩師の真の思いが徐々に明らかになっていく。本書は、これらの聞き取り内容と著者の公立中学校での経験を基にして、教師として何を大切にすべきかを教育を受ける側の目線を大切にしてまとめたものである。
登場する恩師は以下の10名である。
1.自分たちのやりたいことをやらせてくれた先生
2.友だちみたいに振舞ってくれた先生
3.私の危機にさっそうと現れた頼りない先生
4.手品のように生徒を変える先生
5.10年後に生かされる学級通信を書いた先生
6「.この先生を裏切ったら自分が終わる」と感じさせた先生
7.授業で何が一番大切なのかがわかっている先生
8.秘密のメモを持っていた先生
9.お母さんのような先生
10.こんなに気持ちがいいことがあることに気づかせてくれた先生
(※本書は2021/6/22につむぎ書房より発売された書籍を電子化したものです)